書痴肉林・蟄居汎読記

佐野白羚の古い雑文の一部を(たぶん)定期的にひっそり掲載します

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アンドリュー・ソロモン『真昼の悪魔(うつの解剖学)』(堤理華・訳 原書房)

アンドリュー・ソロモン『真昼の悪魔(うつの解剖学)』(堤理華・訳 原書房) そもそもうつ病というのは何もので、現場ではどんな治療方法が現に行われていて、どんなふうな歴史を持っているのか。大部のこの労作はそのあたりをばっと辿ってみせる。こうい…

水原紫苑『桜は本当に美しいのか(欲望が生んだ文化装置)』(平凡社)

水原紫苑『桜は本当に美しいのか(欲望が生んだ文化装置)』(平凡社) 往年の落語家シリーズばかり聴いていた頃、桂米朝か三遊亭圓生(六代目)かのどちらかの演ずる「百年目」のなかで、花見見物客を眺めている旦那がさりげなく桜に苦言をもらすところがあ…

諏訪哲二『なぜ勉強させるのか?(教育再生を根本から考える)』(光文社新書)

なぜ勉強させるのか? 教育再生を根本から考える 光文社新書 作者: 諏訪哲二 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2007/02/16 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 12回 この商品を含むブログ (22件) を見る 諏訪哲二『なぜ勉強させるのか?(教育再生を根本か…

山際淳司『スローカーブをもう一球』(角川書店)

山際淳司『スローカーブをもう一球』(角川書店) 「スポーツ」の中核をなす三大要素は、「ルール」と「遊戯性」と「競争性」、もう一つ加えるなら「限界挑戦性」ではないか。「遊戯性」や「ルール」を欠くとただの乱闘や殺し合いになりかねないし、「競争…

大島洋一『芸術とスキャンダルの間 戦後美術事件史』(講談社現代新書)

大島洋一『芸術とスキャンダルの間 戦後美術事件史』(講談社現代新書) 要するに日本の戦後美術史のゴタゴタ事件簿。芸術ってそもそも何というふうな疑問を首から下げて読むと良い感触が得られるね。贋作をつかまされた当事者でなければ笑って読める。欲の…

トオマス・マン『ヴェニスに死す』(実吉捷朗・訳 岩波書店)

ヴェニスに死す (岩波文庫) 作者: トオマスマン,Thomas Mann,実吉捷郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2000/05/16 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (28件) を見る トオマス・マン『ヴェニスに死す』(実吉捷朗・訳 岩波書…